麻酔
静脈麻酔による鎮静
まぶたの手術は原則的に局所麻酔(まぶたへの注射)のみで行う事が多いですが、過去に治療を受けられたことのある患者さんの中には、手術は痛かったと記憶されている方が多いと思います。元々まぶたは痛みを強く感じやすい部位です。当院では患者さんの苦痛を軽減する目的で、点滴から痛みと緊張感を和らげる成分の薬を流しながら手術を行います。静脈麻酔を使用した手術は、患者さんの不安と苦痛を大幅に軽減します。
低濃度笑気ガス麻酔による鎮静
局所麻酔のデメリット
白内障手術は短時間で終了し、痛みもほとんどないため局所麻酔で行います。ただし局所麻酔では意識がはっきりしていますので、患者さんのなかには不安や緊張で恐怖を感じてしまい、苦いトラウマとなる方もまれにございます。
笑気とは
笑気は治療中の痛みや不安を和らげてくれる作用のある医療用ガスです。古くから歯科領域で使用されてきました。吸入すると気持ちが落ち着きリラックスできます。鎮痛作用もあることから、痛みについても感じにくくなります。効果の発現と消失は極めて速やかです。吸入すると速やかに効果を表し、中止すれば直ちに排泄されるという性質を持っています。吸入中止後数分で帰宅可能となります。
安全性について
呼吸器や循環器にほとんど影響を与えません。
肺や心臓に障害を持っている患者さんにも安全に使用できます。
鎮静法では笑気を30%以下という低い濃度で(全身麻酔で投与する場合は50%~70%)、鼻呼吸により70%以上の酸素とともに吸入させる極めて安全性の高い方法です。
どんな方に向いているか
ほとんどの患者様は従来通りの局所麻酔での手術で問題ありませんが、眼の手術が怖い、不安が強いなど、どうしても恐怖感が勝ってしまう患者様のために、当院では白内障手術での低濃度笑気ガス麻酔を導入致しました。ご希望のある方は気軽にご相談ください。
麻酔クリーム
誰にとっても注射の痛みはいやなものです。
当院では注射前に麻酔クリームを皮膚に塗り、また一般的に使われている注射針より細い 注射針を使うことで、針の刺入時の痛みを和らげます。
局所麻酔薬
手術時には痛みを取るために局所麻酔薬を使用します。
最大限の効果を得るために知覚神経の走行に配慮した麻酔を行います。
さらに注入時の痛みをとるために緩衝剤を使用してpHを整えています。
日帰り全身麻酔について
お子様の場合や、大人でも規模の大きい手術の場合では全身麻酔の方が安全な場合もあります。全身麻酔では、意識と痛みを完全に取り除いて手術時の苦痛をなくします。手術中の血圧や脈拍も制御できるため、出血の少ない安全な手術を行うことができます。
当院と、姉妹院である仙台なみだの眼科クリニックでは、日帰り全身麻酔に特化しております。このような治療システムを可能にしているのは、①高い技術力に裏付けされた短時間手術、②豊富な知識と経験をもつ麻酔科医、③目覚めの早い新しい麻酔薬の登場です。全身麻酔下にて手術を行った後は、麻酔がきちんと覚めていることを確認してから帰宅していただきます。
日帰り手術のメリット
日常生活を続けながら治療ができる
忙しいビジネスマンやお子さんを抱えたお母様など、お仕事やお家を空けられない方にも安心です。朝から夕方までの日帰り手術なら、拘束時間が大幅に短縮できます。
入院に伴う面倒が少ない
子供の世話を他人にお願いしたりと、周りの方に迷惑をかけず治療できます。
費用が安く済む
医療費の多くを占める入院費がかかりませんので、2~5割の費用削減となります。
身体への負担が軽い
術後の生活復帰が早ければ早いほど、身体への影響も少なくすみます。健康な患者さんを健康なまま、ご自宅へお戻しいたします。
Q&A
手術当日に帰宅して、本当に大丈夫ですか?
日帰り手術を可能にしたのは、最近の麻酔の進歩によります。
日帰り手術には、麻酔及び手術手技の技術向上がされたエキスパートのみが行うことができる、医療サイドの高度な技術と経験が重要です。常に最新の技術を導入するように努力しておりますので、ご安心して日帰り手術をお受けください。
「長く入院するほうが合併症が少ない。」とか「長く入院するほうが病気の治りが良い。」ということはありません。むしろ長期入院による弊害もあります。健康な方を健康なままでお戻しするのが日帰り手術です。
持病があっても大丈夫ですか?
日帰りに限ったことではありませんが、安全に全身麻酔を受けるには身体が健康である必要があります。
手術適応基準
下記に記載されているような方は、手術をお引き受けできない場合があります。
- 心筋梗塞や心不全などで、著しく心機能が低下している方
- 肺炎・喘息・肺気腫などで、著しく呼吸機能が低下している方
- 高血圧、糖尿病のコントロールが不十分な方
- 人工透析中の方
- 妊娠中・妊娠の可能性がある方
上記に該当しない場合でも、医師が適応範囲外と判断した場合、または手術前検査の結果に問題があった場合には、手術をお引き受けできないことがあります。
自宅が遠い場合はどうしたらいいでしょうか?
術後の安全のため、手術当日の帰宅の可否・近隣ホテルへの宿泊の要否の判断は、事前に医師が決定しています。
- 帰宅時から翌朝まで、ご家族の付添いが可能なこと
- 公共の交通機関ではなく、患者さん以外が運転する車、またはタクシーによる帰宅が可能であること
- 上記移動手段による当院からご自宅までの移動時間が、2時間以内であること
ご自宅まで2時間以上かかる遠方の方には、手術当日は仙台市内のホテルに1泊されるようお願いしております。その場合、必ず付添いの方と一緒にご宿泊(同室)ください。安全確保のため、術後24時間は患者さんがお一人になることのないよう、ご協力をお願い致します。
手術後に体調がすぐれない場合はどうしたらいいのでしょうか?
手術後、体調不良が理由で帰宅が困難になることはほとんどありません。万が一、はき気が強いなど日帰りが困難であると判断された場合には、近隣の総合病院へ1泊入院出来るよう連携を取っております。
帰宅後に困った症状がでたらどうしたらいいでしょうか?
手術当日は緊急連絡先に電話することができます。当直の看護師が電話対応致します。